2013年12月02日
野球肩について
私は小学校、中学校、高校(豊田大谷高校)で寮に入って野球をやっていました。
そんな野球をやっている子に多い野球肩の関節唇断裂についてお話しします。
まず、関節唇とはいったいどのようなものなのか説明します。関節唇は肩の受け皿の骨の輪郭を土手のように覆っている線維性の組織で、膝でいえば半月板のようなものです。関節唇はその部位で上方関節唇、前方関節唇、後方関節唇、下方関節唇に分けられます。上方の関節唇には上腕二頭筋長頭筋腱という肩のぶれを押さえる腱が付いています。前方、後方、下方の関節唇には関節包靭帯という肩関節が前後にずれないように働く靭帯が付いています。つまり関節唇は肩関節が前後、上下にぶれないように、しっかりと支える働きをしているんです。通常、関節唇は骨にしっかりと付着していますが、肩を使いすぎたり、肩にけがをしてはがれることがあります。これが関節唇断裂です。野球ではボールを投げすぎたり、肩を打撲したり、肩をねじったりして関節唇を傷めます。はがれる部位は肩の上方、前方、後方と様々ですが、野球肩では上方の関節唇がはがれること多いです。上方の関節唇がはがれるとスラップ病変という病名がつきます。上方の関節唇がはがれると肩の前後方向と下方のぶれが大きくなり、投球時に肩の痛みや違和感(肩が抜ける感じ、ひっかかり感)を覚えるようになります。一度はがれた上方関節唇が自然について治ることはありません
上方関節唇断裂の診断はなかなか難しくて、一度MRI、CTがある病院で診察を受けて頂く必要があります。そこでおおよそ診断できますが、最終的に肩に内視鏡を入れてみて初めて診断されることも多いです。症状は野球選手では投球時、コッキング期から加速期での肩の痛みや違和感で、症状がそれほど強くない場合もあります。
治療はまずは肩を休めてあげることが必要です。肩を休めることではがれた関節唇が着くことはありませんが、痛みが軽快することがあります。症状が良くならなければ、肩甲骨周囲の筋力訓練、腱板訓練(インナーマッスルエクセサイズ)を行い肩のぶれを軽減させます。
肩のテーピングはこちら動作を制限し、痛みを和らげます。それと同時に日常生活でも負担がかからない様に考えてテーピング治療を施しました。やはりテーピングをやると痛みが引くのが早いです
ただ一言で野球肩と言っても中には酷い症状のものもあります。その場合は内視鏡手術だったりと外科的なアプローチをした方が早く完治する場合があります。